【給料2倍?】1000円カットで働くメリット・デメリットを8年経験者に聞いてみた
心斎橋の美容室 Stellavita の小島です。
今回は、僕の友人で1000円カットに8年間勤務してきた岡本さんを招き、実際の現場のことをいろいろ聞いてみました。
普段はなかなか表に出ない“低料金サロンのリアル”について語ってもらったので、その一部をご紹介します。
1000円カットで働こうと思ったきっかけ
まず最初に聞いたのは「なぜ1000円カットで働こうと思ったのか」ということ。
岡本さんは、最初は街中の高単価サロンで働いていたそうです。ただ、そこでのデビューは時間がかかる。3〜5年修行を積んで、ようやくお客様の髪を切れるようになる世界でした。
それに対して低料金サロンでは、数をこなせる分、早く技術が身につき、早くデビューできる。23歳から25歳の頃に「もっと早くお客様に対応したい」と考え、1000円カットの世界に入ったのだそうです。
技術力は上がるのか?
「1000円カットで働いて技術は上がりましたか?」と質問したところ、岡本さんは即答で「上がった」と答えていました。
1日何十人も担当するからこそ、髪質の違いや生え方の違いを数多く経験できる。そうした経験の積み重ねが、自信につながったと話してくれました。
給料事情のリアル
気になる給料の話も聞いてみました。
岡本さんいわく、給料は以前のサロンよりも「倍近く」上がったそうです。
僕らが働き始めた頃は、初任給が13〜14万円。そこから家賃や保険、税金、さらにマネキン代やハサミのローンを差し引くと、手元には数万円しか残らない…そんな時代でした。
「だからこそ、生活や家族を考えた時に、1000円カットの働き方にシフトした」と岡本さんは語っていました。
噂について聞いてみた
ネット上では「1000円カットは前科持ちの受け皿になっている」という噂も目にします。
正直、僕自身も初耳だったので、岡本さんにぶつけてみました。
彼の答えは「少なくとも自分の周りでは聞いたことがない」というもの。
ただし刑務所内で理容免許を取る人が多い背景から、そうしたイメージが広がったのかもしれないとのことでした。
フェードカットは可能なのか?
ここ数年、フェードカットが流行しています。
「1000円カットでもフェードを注文されることはありますか?」と聞いたところ、「ある」との答え。
ただしフェードは時間がかかるため、追加料金をいただく場合もあるそうです。基本は“10分1000円”ですが、フェードに関しては2000円分・20分という形で対応するケースもあるようです。
回転率と客単価、どちらが大事?
1人のお客様に60分かけて6000円いただくのと、10分で6人カットして6000円いただくのでは、どちらが店にとって良いのか?
岡本さんは「お店的には回転の方が大事」と答えました。
数をこなすことが来客数や回転率につながる。それが低料金サロンの基本的な考え方だといいます。
1日の最多カット人数は?
さらに驚いたのが、1日のカット人数。
平均は60人前後ですが、繁忙期にはなんと130人を担当したこともあるそうです。
僕が街中のサロンで働いていた頃は、30分刻みで予約を取って最大でも24人。それでもヘトヘトになっていました。
それを思うと「130人」という数字は本当に異次元です。
1000円カット“あるある”
1000円カットには「指名制度がない」という特徴があります。
そのためお客様が列に並んで、どのスタッフに当たるかは基本ランダム。
岡本さんいわく、中には「この人に当たりたいから」と鏡で様子を見ながら並ぶ位置を調整したり、逆に避けたりするケースもあるのだとか。これもまた1000円カットならではの“あるある”です。
苦手なお客様は?
苦労するのは「細かい注文」をされるお客様。
「ここを1センチ、2センチだけ切ってほしい」といったオーダーは、10分以内の施術ではなかなか難しい。
岡本さんも「そういう要望は高級サロンに行った方がいいと思う」と本音を語ってくれました。
一方で「おまかせで」と言われるのも実は一番難しいオーダー。
僕自身、お客様にそう言われると必ず聞き返します。
「ほんまにおまかせでいいんですか?」と真顔で伝えると、たいてい「あ、えっと…」と戸惑われます。もちろん冗談交じりに言うのですが、それほど“おまかせ”は幅が広い注文なんです。
上手い人の見極め方
最後に「上手い美容師をどう見極めるか」という話も出ました。
岡本さんいわく、本当に上手い人は“6分でカットを仕上げ、残り4分で確認や微調整をする”。
逆に技術がまだな人ほど、時間内で何度も切り直しをしてしまう。
安くても早くても、きちんと仕上げる技術のある人は必ずいる。これが1000円カットの奥深さだと感じました。
まとめ
今回の対談で、僕自身も1000円カットのリアルを初めて知ることができました。
ネットで噂やコメントを目にして「本当かな?」と疑問に思っていた部分も、岡本さんの生の声でクリアになりました。
そして改めて思ったのは、「どのサロンにも役割がある」ということ。
数をこなす低料金サロン、一人ひとりに向き合う高単価サロン。
それぞれのスタイルがあって、どちらも必要とされている。
Stellavitaは「待たせない」「一人に丁寧に向き合う」ことを大切にしています。
岡本さんの経験談を聞いて、その考えをさらに強く持つことができました。